福山市在住の写真家『Yusuke Minami』氏が巡る福山駅前エリアの魅力
福山市の景観に惹かれ11年前に福山市へ移住した写真家『Yusuke Minami』氏。福山市を中心に備後圏内の情報を備後カメラ部HPとYoutubeにて発信をしている。 2023(令和5)年、撮影した福山市の写真と『ももいろクローバーZ』のコラボ商品を発売し、活躍の幅を広げている。今回は、そんな『Yusuke Minami』氏に、福山駅前エリアの魅力を紹介していただいた。
日本で一番、駅に近い城「福山城」
初めて広島県福山市を訪れたのは15年前。
「福山」駅に停車した列車を降りて新幹線ホームから外を見ると驚愕した。
その理由は新幹線ホーム窓から見た景色に城が見えたからだ。
駅からお城が見えるという視覚的インパクトは強烈であった。
2023(令和5)年現在、福山市に移住して11年が経過した。
交通に関して福山市は車社会の地域と言われている。
とはいえ、「福山」駅は新幹線も停車する利便性が高い駅だ。
駅近隣から城が見えて、改札を出れば城まで5分もかからない。
構造的に言うと福山城郭内に「福山」駅があるというのが真実であり、電車を降りると見える城は、気持ちを優雅にさせてくれる、それが日本で駅に一番近い城、「福山城」である。
2022(令和4)年8月には、築城400年を迎え、リニューアルオープンもした。リニューアルの特徴の1つに、城の北側に黒鉄板が貼られたことがある。日本で唯一の鉄板張り天守として大きな話題にもなった。
また、「福山城公園」の広場はイベント会場としても使用される。築城400年記念の豆まきイベント「福まき」では1万人以上を動員した。
今後は、城で宿泊できる『城泊』も予定されており、国内外からも注目され期待が高まっている。
夜のライトアップで照らされる、北側黒鉄板張りは闇に浮かびあがる『浮城』のようで格別にかっこいい。
「福山」駅近く、身近に歴史に触れられる文化ゾーン
このエリアの大きな魅力の1つである「福山城」だが、その隣には「ふくやま美術館」や「福山市立福山城博物館」などが立つ文化ゾーンも忘れてはいけない。
文化ゾーンは以下の6つの施設で構成されている。
1.福山市立福山城博物館
「福山城」は1966(昭和41)年に再建された天守閣である。五層の層塔式天守閣で、二層の付櫓を接合させた複合式天守閣となっている。
現在は「福山市立福山城博物館」として、歴代藩主の遺愛品備後地方の歴史資料が展示されている。リニューアル後には、火縄銃体験や乗馬体験コーナーも設置された。
2.福山市人権平和資料館
「人権を尊重することは世界平和の基礎」と世界人権宣言の精神を受け、人権と平和についての諸資料を展示している。
3.ふくやま文学館
福山市および近接市町ゆかりの文学者の顕彰、諸資料を展示している。
4.ふくやま美術館
日本の近・現代、ヨーロッパ美術などを中心に岸田劉生やイタリア未来派などの作品を所蔵しており、館内からは美しい庭園も眺望できる。
5.ふくやま書道美術館
ふくやま美術館と同施設内にあり、日本・中国の書画、墨・硯・筆など文房至宝を中心に福山出身の桑田笹舟、谷邊橘南などの遺墨等を所蔵。
6.広島県立歴史博物館(ふくやま草戸千軒ミュージアム)
草戸千軒町遺跡で出土した生活資料をはじめ、瀬戸内の歴史資料を収集。
草戸千軒の一角を実物大で復元した常設展や重要文化財「広島県草戸千軒遺跡出土品」が展示されている。
草戸千軒は、鎌倉時代〜室町時代にかけて福山市に存在した港湾集落で、当時の様子が再現されている。
60年の歴史をもつ、中四国最大の福山夜店
「福山」駅から徒歩約5分。鳥居の入口が目印の「宮通り商店街」がある。
平日の日中は、穏やかな空気が流れている商店街だ。
しかしこの商店街、「福山毎度夜店」の際には、まったく違った表情をみせる。
6月から8月の土曜日、または特別な日に多くの出店が並び、夜店としては、中四国最大級となる。
平日とは変わって、想像以上の人がこの場所に訪れ賑わいをみせる、福山の夏の風物詩となっている。
「福山」駅周辺のおすすめスポット
「福山」駅近くで、ちょっと贅沢にランチをしたいと思ったときに訪れる、私的最上級のオムライス屋「メゾンドシェフごはん」。
頭の中で想像されるオムライスよりもふわとろな半熟たまごと、盛り付けられた赤城牛は絶品。
店主が「本物を提供したい」と掲げているだけあり、味も素晴らしく、私個人としてはここでオムライスの常識が変わった。
2つ目に注目したい場所は「iti SETOUCHI(イチセトウチ)」
元は大型百貨店であったが閉鎖された大型商業施設を民間投資によってリノベーションし、2022(令和4)年10月に“屋根付き公園”というコンセプトでオープンした。
施設内はスーパーマーケット、カフェスペースやキッズスペース、ものづくり工房、コワーキングスペース等がテナントとして営業している。
しかし、半分以上はパブリックスペースとなっており、気軽に遊びに行く感覚で利用することができる、贅沢な公園だ。
「福山」駅周辺の街並み
「福山駅は遊びに行く場所であって、住む場所ではない」という声をたまに耳にするが、私自身そうは思えない。
「福山」駅周辺を歩いてみると、日々の暮らしに嬉しいスポットがぞくぞくとあらわれる。
駅ナカには商業施設があり、駅高架下の「サンステーションテラス福山」通称「さんすて福山」は、ファッションをはじめ、食料品、雑貨、グルメ、各種サービスと90を超えるさまざまなテナントが軒を並べている。
他にも、近くにあると心強い、「おかず」と生鮮品メインの食品スーパーマーケット「フレスタ アイネス店」なども身近だ。
2011(平成23)年、繊維ビル跡地に誕生した「アイネスフクヤマ」には、ファッション・グルメ・ビューティー・クリニックとバリエーション多彩なテナントがそろっている。
駅から徒歩7分程の位置にある「福山本通商店街」は「福山城」を築城した約400年前から「とおり町(とおりちょう)」の名で親しまれている、今でいうショッピングストリートだ。子育てカフェや産直野菜販売店など、地域密着型の店舗が増え、地元の人の楽しいお買い物と交流の場にもなっている。
ほかにも、市役所、郵便局等の公共施設はもちろん充実しており、生活するのに便利な施設がギュッと集まっている。
“働く・住む・にぎわい”が一体となった駅前の実現に向けて、「福山駅周辺再生事業」も進行中だ。
しかし、その完成を待つまでもなく、「福山」駅周辺では多くの人が暮らし、にぎわいを生んでいくだろう。