シンプルで優しい味わいのパンがそろう

街に根ざした笑顔のパン屋さん 広島・皆実町「ニコニコベーカリー」/宮川桂治さん・園子さん

広島市南区・皆実町にある「ニコニコベーカリー」は、地元の人々に長年愛され続けるパン屋さんです。しろクリームパンや木曜日限定のコッペパン専門店など、魅力あふれるラインナップに加え、素材や内装への細やかなこだわりもファンを惹きつける理由のひとつ。

今回のインタビューでは、ご夫婦で営む店主のお二人に、パン作りへの思いや、皆実町という街とのつながりについて伺いました。お二人の人柄から滲み出るあたたかさや、手仕事への真摯な姿勢が、パンにも、店にも、そしてまちにもやさしく広がっています。

店主の宮川桂治さんと園子さん
店主の宮川桂治さんと園子さん

東京から広島へ、パン作りへの思いと開業のきっかけ

――まず、「ニコニコベーカリー」の概要と、開店までの経緯を教えてください。

桂治さん:学生時代に、東京のパン屋さんでアルバイトをしていました。その時に、地域のお客様とお話をしながら働く雰囲気がとても心地よくて、「将来はパン屋さんになりたい」と思うようになったんです。卒業後は各地のパン屋で15年ほど修行を積んだ後、いよいよ自分の店を持とうと決意しました。

丁寧に、愛情を持ってパンをつくる桂治さん
丁寧に、愛情を持ってパンをつくる桂治さん

――広島での開業を選ばれたのはなぜですか?

桂治さん:私は茨城県出身なんですが、父が広島県江田島の出身で、子どもの頃から毎年のように遊びに来ていたんです。東日本大震災をきっかけに、開業地を再考するようになって。落ち着いて長く続けられる場所として、思い入れのあった広島を選びました。

――広島の中でも、皆実町を選んだ理由はありますか?

桂治さん:皆実町は「広島」駅から江田島への経由地でもあり、生活の利便性も高いエリアだったこと、そして実際に街を歩いてみて、人口の推移や街の様子を観察したことが決め手でした。特に、ベッドタウンとして人口が増えている印象を受けたこと、子どもの頃に見た風景と重なるような親しみやすさを感じたこともあり、「ここなら長く続けられる」と思えました。実際に住んでみて、人も温かく、子育てもしやすいと感じています。ここでお店を開けて本当に良かったと思っています。

ガラス張りで、優しい光が差し込む明るい店内
ガラス張りで、優しい光が差し込む明るい店内

大人気のしろクリームパンと、季節を感じるパンたち

――「しろクリームパン」が看板商品とお聞きしました。

桂治さん:おかげさまでとても好評をいただいています。自家製のカスタードクリームは、新鮮な卵の力強い風味を生かして、バニラビーンズに頼らずに仕上げています。生地はふんわりもっちりで、白い見た目も優しい雰囲気があって。焼き上がりはだいたい午後2時前後なんですが、ご予約で埋まってしまうことが多くて、本当にありがたいなと感じています。

一番人気の「しろクリームパン」
一番人気の「しろクリームパン」

――他にも人気の商品はありますか?

桂治さん:クロワッサンは開店当初から大切にしているアイテムで、リピートしてくださるお客様も多いです。あとは「ミルクフランス」。これは、生地にセモリナ粉を少し加えることで、さっくり軽やかな食感に仕上がっていて、ミルククリームとの相性が抜群です。もちろん、ミルククリームも手作りで、口の中でふわっと溶けるようなやさしい甘さを追求しています。

サクサクで深い甘みを感じるクロワッサン
サクサクで深い甘みを感じるクロワッサン

――季節によって味の工夫もされているそうですね。

桂治さん:例えば、夏場は塩分を意識して少し味を調整したり、冬は甘めのデニッシュ系を多めにしたりと、気候やお客様の好みを考慮して焼き分けています。

木曜限定の「コッペパン専門店」という遊び心

――「木曜日だけコッペパン専門店」という取り組みがユニークですね。

桂治さん:実はコロナ禍で木曜日を仕込みだけの日にしていたんです。でも時間的に少しもったいないと感じてきて、とはいえ通常のパンを減らすのも気が引ける……。それで、仕込みと両立できる形として「コッペパン専門店」というスタイルにしてみたらどうかと考えました。具材を挟むスタイルなら準備の負担も抑えられるし、お客様にも新鮮に楽しんでもらえると思ったんです。

ファンが多い人気のコッペパン
ファンが多い人気のコッペパン

――お客様の反応はいかがでしたか?

桂治さん:嬉しいことにとても好評です。「木曜を楽しみにしています」と言ってくださる方もいて、平日の新たな賑わいにつながっています。週一限定だからこそ、特別感もあっていいのかなと感じています。

「木曜日だけコッペパン専門店」ののれん
「木曜日だけコッペパン専門店」ののれん

素材選びと店内空間、細部への愛情とこだわり

――素材選びについて教えてください。

園子さん:うちにも子どもがいますし、やっぱり子どもに安心して食べさせられるパンを作りたいという思いがあります。だから、なるべく添加物は使わず、ソースやカスタードなどもできるだけ手作りしています。こだわり農家さんの新鮮な野菜を使うこともありますし、小麦粉も徐々に国産のものに切り替えているところです。

オープン前に、宮川さんのお子さんが書いたイラスト
オープン前に、宮川さんのお子さんが書いたイラスト

――木を基調にした店内もとてもあたたかみがありますね。

園子さん:内装は、建築士さんとじっくり話し合いながら作り上げました。家具は熊野の家具作家さんが手がけたもので、釘を使わない「指し物」の木箱やカウンターなど、職人技のぬくもりを感じるものばかり。私の父が大工だったこともあり、スノコを作ってもらうなど、身近な人たちの手も加わっているのがとても嬉しいです。

職人のぬくもりを感じる木箱
職人のぬくもりを感じる木箱

――お子さん連れにもやさしい設計ですね。

園子さん:私自身、子どもを連れての買い物で「すみません」って思うことが多かったんです。だからこそ、子どもがちょっと遊べるスペースを設けたり、子ども用のトングを用意したり、親御さんが少しでも気を楽にできるような工夫をしています。

秘密基地のような子どものスペース
秘密基地のような子どものスペース

あたたかな雰囲気に包まれた皆実町と共に歩む、未来へのまなざし

――皆実町でお店を続けてこられて、街に対する思いはいかがですか?

園子さん:とてもあたたかい街です。お年寄りが子どもに声をかけてくれたり、すれ違いざまに何気なくあいさつしてくださったり。そんな日々の小さな出来事が積み重なって、この街が好きになりました。お客様とも顔なじみになって、「最近どう?」って話しかけてもらえるのが、何より嬉しいです。

優しい風に揺れるのれん
優しい風に揺れるのれん

――地域の子育て環境についてはいかがでしょう?

園子さん:学校も熱心なところが多くて、子どもたちも刺激を受けていると思います。でも、うちみたいにちょっとバタバタした慌ただしい家庭のことも、そっと見守ってくれているような、包容力のある街だなと感じます。

――最後に、皆実町に住むことを検討している方へメッセージをお願いします。

桂治さん:皆実町は本当にあたたかくて暮らしやすい場所です。困ったときに相談できる人が近くにいる、それだけでとても心強いと思います。肩の力を抜いて、のびのびと暮らせる。そんな皆実町に、ぜひ一度、遊びにいらしてください。パンと一緒にお待ちしています。

「ニコニコベーカリー」
「ニコニコベーカリー」

店主の宮川桂治さんと園子さん
店主の宮川桂治さんと園子さん

ニコニコベーカリー

宮川桂治さん、園子さん
所在地:広島県広島市南区皆実町1-18-27 第2五十川ビル102
電話番号:082-236-1384
URL:https://www.facebook.com/niconicobakery/?ref=page_internal
https://www.instagram.com/niconicco_bakery/
※この情報は2025(令和7)年11月時点のものです。