広島の街とともに走り続ける、広島電鉄が描く未来とまちづくりについて聞きました/広島電鉄株式会社 藤田さん・金田さん

右から、広島電鉄株式会社 広報・ブランド戦略室の藤田 睦さん、乗務員の金田 真一さん
右から、広島電鉄株式会社 広報・ブランド戦略室の藤田 睦さん、乗務員の金田 真一さん

広島市南区にある「皆実町(みなみまち)」は、駅や大型の商業施設、教育機関が充実し、日々の生活に便利な街として知られています。そんな皆実町をはじめとした広島の街の交通を、長年にわたり支えてきた存在が「広島電鉄(広電)」です。

単なる移動手段としての役割にとどまらず、地域の発展や文化の継承、さらにはまちづくりの骨格に関わる存在として、広島に深く根ざし続ける広電。

路面電車というどこか懐かしくも新しい交通手段が、皆実町にとってどんな存在なのか。そして、これからの地域との関わりをどう見据えているのか。

今回は、広島電鉄株式会社 広報・ブランド戦略室の藤田 睦さん、乗務員の金田 真一さんに、皆実町の魅力と、広電の視点から見た地域とのつながりについてお話を伺いました。

広電の成り立ちは街づくりそのもの

――まずは、広島電鉄の成り立ちについて教えてください。

藤田さん:当社は1912(大正元)年に設立されました。最初は路面電車の運行から始まり、その後路線バス、不動産事業へと事業を広げ、現在では「電車」「バス」「不動産」が三本柱となっています。

広島のまちづくりとの関わりも深く、当初は広い道路がない時代でしたから、住宅地の中を用地買収して路面電車の線路を敷いていった歴史があります。その後、線路に沿って幹線道路が整備されていきました。言い換えれば、線路が広島の街の骨格を作り上げていったとも言えると思います。

実際、私たちは「電車が街をつくった」と表現することもあります。まさに都市インフラとして、電車が地域の成長とともに存在し続けてきました。

線路に沿って街が形成されてきた
線路に沿って街が形成されてきた

――広電の歴史の中で、戦争や災害など厳しい時代もあったと思います。

藤田さん:原爆の被害も大きく、当時1,241名いた従業員のうち、185名の方が亡くなられました。また被爆によって電柱が倒れ、電線も破損しましたが、従業員が懸命に復旧作業を行い、被爆からわずか3日後の8月9日には、西部の一部区間で運行を再開しました。

このエピソードは今でも当社の誇りとして語り継がれております。「広電は広島の再生の象徴」だと感じて下さった方もおられると思います。

広電の歴史を語る藤田さん
広電の歴史を語る藤田さん

暮らしに寄り添う交通手段としての役割

――現在、皆実町での広電の役割はどのように感じられていますか?

藤田さん:広島市街地の中心付近に位置する皆実町は、もともと交通の便が良いエリアですが、その中でも広電は欠かせない交通手段になっていると思います。バスも走っていますが、やはり電車の方が利用しやすいと感じていただいているようです。

また、広島では地下鉄が開通しなかったという事情もあり、結果的に路面電車が残りました。一時は「時代遅れ」とも言われましたが、いまや高齢者にも優しく、環境にも配慮された交通手段として再評価されています。

街中を走る路面電車
街中を走る路面電車

金田さん:私も乗務員として日々運転していますが、安全第一を徹底しています。「少しでも危ないと感じたら止まる」ことを常に心がけています。最近の車両には、緊急ブレーキなどの新しい安全装置も導入されており、設備面でも進化しています。利用者の安心・安全を支えること、それが私たちの一番大切な役割だと感じています。

懐かしさと革新が共存する電車たち

――電車の種類も多様とのことですが、どのような工夫がされているのでしょうか?

藤田さん:かつては経営が厳しい時代もあり、全国の都市で廃止された車両を購入して活用していました。大阪や神戸などの中古電車を走らせた結果、「動く電車博物館」と呼ばれるほどに多彩なラインナップになったんです。

しかし、毎日ご利用頂いている地元の方にとっては、いつまでも「古い、懐かしい」だけでは駄目で、床の低いバリアフリー車両を導入しました。最初はドイツ製を輸入しましたが、部品調達の難しさもあり、メーカーと協力して日本で初めて国産化にも成功しました。

街を横断する路面電車
街を横断する路面電車

藤田さん:現在でも、戦時中に導入された650型といった“被爆電車”も現役で走っており、写真を撮るために全国から鉄道ファンが訪れます。

現役で走る“被爆電車”
現役で走る“被爆電車”
金田さん:運転していると、手を振ってくださる方や、子どもたちの笑顔を見る機会が多いです。中には「将来広電の運転士になりたい」と言ってくれる子もいて、本当に嬉しいですね。そんな出会いが、この仕事のやりがいだと思っています。

広島電鉄本社にある車庫ではさまざま電車に会える
広島電鉄本社にある車庫ではさまざま電車に会える

子育て世代にも安心。住んで実感する“皆実町”の魅力

――金田さんご自身も皆実町出身とのことですが、地域の魅力をどのように感じていますか?

金田さん:私は皆実町の出身で、今もこの近くに住んでいます。昔から変わらず落ち着いた街並みで、暮らしやすさがそのまま残っている印象です。子どものころから今に至るまで、「不便」と感じたことがないというのが正直な感想ですね。

皆実町の魅力を語る金田さん
皆実町の魅力を語る金田さん

金田さん:特に子育て世代にとっては、保育園や塾、学校などの教育機関が充実しており、安心して子どもを育てられる環境が整っていると感じています。また、大型商業施設に加えて病院も近くに複数あり、万が一のときもすぐ対応できる点は大きな安心材料ですね。

――広島電鉄として、地域との交流やイベントなどもあるのでしょうか?

藤田さん:地域との連携も大切にしておりまして、2025(令和7)年8月からは、広島駅ビル「ミナモア」に電車が直接乗り入れるようになりました。それにあわせて施設とタイアップした企画も実施しています。

「広島」駅ビルに直結となった広電
「広島」駅ビルに直結となった広電

藤田さん:皆実町からもほど近い千田車庫では「広電の日」と称したイベントも開催しています。

このイベントは毎年11月23日に行われ、地元のご家族連れなど多くの方々が訪れてくださいます。鉄道グッズの販売や、車両の展示、ステージイベントなど、1万人以上の来場者でにぎわいます。 また、美術館とのタイアップによる「走る美術館」や、宇品の郷土資料館との連携で歴史展を開催するなど、文化施設とのコラボも積極的に行っています。

「広電の日」は1万人以上集まる人気のイベント
「広電の日」は1万人以上集まる人気のイベント

皆実町に住まわれる方へのメッセージ

――最後に、皆実町への移住を検討されている方へのメッセージをお願いします。

金田さん:皆実町は、子育て環境・買い物の利便性・交通のアクセス、どれをとってもバランスが取れた住みやすい町です。これから住む場所を選ぶ方には、ぜひ一度足を運んでいただきたいと思っています。

そして、もし皆実町に住まわれたら、ぜひ広電の電車をご利用ください。私自身が運転している電車に乗っていただけるかもしれませんし、街と電車を一緒に楽しんでいただけたら嬉しいです。

広報・ブランド戦略室 藤田 睦さん、乗務員 金田 真一さん
広報・ブランド戦略室 藤田 睦さん、乗務員 金田 真一さん

広島電鉄株式会社

広報・ブランド戦略室 藤田 睦さん
乗務員 金田 真一さん
所在地:広島県広島市中区東千田町2-9-29
URL:http://www.hiroden.co.jp/
※この情報は2025(令和7)年9月時点のものです。