スペシャルインタビュー

Family(家族のような絆)、
Friendly(思いやり・優しさ)、
Future(未来づくり)、
3つのFで繋がる「広島市立二葉中学校」

「広島市立二葉中学校」
「広島市立二葉中学校」

「広島」駅北口から徒歩約10分。大通りを渡り静かな住宅街に「広島市立二葉中学校」は位置する。都会とは思えないほど豊かな緑に囲まれ、透き通るような広い空。通常学級や特別支援学級に加え、施設内学級、夜間学級があり、さまざまな生徒が集まる学校だ。今回はその中学校で、通年勤務歴15年以上の杉本教頭先生と、2021(令和3)年に就任されたばかりの橋本校長先生にお話を伺った。

地域とともに豊かな心情を育てる、二葉中学校の情操教育

――まず、学校の沿革や概要をご紹介ください。

杉本先生:本校は1951(昭和26)年に開校し、2021(令和3)年で71年目を迎えております。二葉山の南に広がる豊かな自然と由緒ある歴史的環境の中、輝かしい歴史と伝統を持った中学校です。開校当時は、東雲町の広島市工専を仮校舎としていましたが、その翌年に現住所へ移転しています。生徒数544名でスタートした本校は、学区再編などを経験し、現在は750名以上の生徒が通っています。 その中には、1953(昭和28)年に開校した夜間学級の生徒20人も含まれています。夜間中学校は市内に2校だけで、15歳以上であれば誰でも学べます。

資料を見ながら説明をしてくれる杉本教頭先生
資料を見ながら説明をしてくれる杉本教頭先生

橋本先生:普通の中学校と夜間中学校、特別支援学級、それから「愛育園」という施設内学級があります。学校に行きたいのに行けないなどいろいろな要因で悩んでいる子どもたちを寄宿という形でサポートしている児童相談所が主体の施設です。本校はいろんな生徒が集っている学校です。

生徒がデザインした、まちぐるみ「教育の絆」プロジェクトのロゴ
生徒がデザインした、まちぐるみ「教育の絆」プロジェクトのロゴ

――教育目標と、特に力を入れている教育活動について教えてください。

杉本先生:本校では、自主的・自立的に行動できる生徒を育成するために、確かな学力と生活力のさらなる定着と自尊感情の向上を目指す取り組みを行っています。特に、ボランティア活動には力を入れおり、毎週金曜日朝のボランティア清掃をはじめ、体育大会前の校庭清掃、PTA主催の緑化活動における花植えや地域の様々な行事にも積極的に参加しています。 また、広島市教育委員会独自の取り組みである、まちぐるみ「教育の絆」プロジェクトのモデル校として2012(平成24)年度から参画しました。学校と家庭と地域の、連携・協力による「まちぐるみの教育」を充実させ、強化し、子どもの健やかな成長を図ることを目的としています。

橋本先生:広島市で最初にこのプロジェクトをスタートさせたのは本校なんです。2016(平成28)年度には文部科学大臣から表彰もされたんですよ。今はどんどん広がって、広島市内64校中52校もの中学校が実施しています。

杉本先生:具体的には、年間の各定期テスト1週間前や、夏休みに地域の方々にサポーターとして協力いただき開催する学年毎の学習支援活動だったり、小学校や地域の方々との連携による「クリーンマイタウン二葉(地域清掃活動)」を中心とした地域貢献活動を行っています。

橋本先生:これで学力と豊かな心情を育てようという狙いがあります。情操教育ですね。

綺麗に整頓された靴箱
綺麗に整頓された靴箱

――そのクリーンマイタウン二葉についてお聞かせください。

杉本先生:年1回開催している清掃体験活動です。二葉中学校と学区内3つの小学校(尾長小学校、中山小学校、矢賀小学校)の6年生が連携し、児童生徒が地域の方々と協力して行います。簡単にいうと、1年生は校内のトイレ掃除、2・3年生は小学6年生とともに、自分の住んでいる地域に行って、公園や施設などを地域や保護者の方々と掃除をします。清掃活動を行うことで、地域を大切にしようとする心を育むとともに、地域の方との交流を深め、自己有用感を感じさせることを目的としています。また、小・中学校のつながりを強化し、小学校から中学校への学校生活が、より円滑に移行できることを目指したものです。

秋晴れの空に赤色が良く映えるフウの木
秋晴れの空に赤色が良く映えるフウの木

子どもたちの成長を見守る二葉中学校のシンボル

――貴校ならではの、施設や設備などはありますか?

橋本先生:私が赴任してきて一番驚いたことは、グラウンドを横切るようにフウの木が並木になっているのがとても綺麗だなと思いました。学校の樹木って手入れが大変だから伐採するところが多いんですよ。それなのに、これだけ立派な木が残っているのは珍しいですよね。

杉本先生:フウの木は二葉中学校のシンボルみたいなものです。毎年、夏が終わって涼しくなってきたら葉が黄色く色づくんです。その後だんだん赤みを増し、最終的には真っ赤になって冬には散っていく。その姿が本当に美しいんですよね。

橋本校長先生
橋本校長先生

中学校を卒業した後の将来まで考える先生たち

――今後、新たに検討されている取り組みはありますか?

橋本先生:今までやってきたことをこれからもやっていくことはもちろんですが、今年度からは新たに大きく分けて2つのことを先生たちにお願いしました。 まずは「進路保障」です。子どもたちは、「今何のために勉強しているのか」という疑問に対してしっかりとした答えを持っている子は少ないんじゃないかと思います。将来の夢を見据えて、自分はどういう風に生きていきたいのか、を生徒たちに考えさせなければいけません。ただ、頭ごなしに「勉強をしなさい」というのではなく、「なぜ勉強が必要なのか」を「どのように」伝えるかが大切です。 もうひとつは「自己肯定感を高めてあげること」です。自己肯定感が低い子は、「自分にはいいところがない」「誰も自分を認めてくれない」と考え、誰かに当たってしまったり、それがいじめに繋がってしまうこともあります。自己肯定感が高い子は、人を傷つけたりしません。そのためには生徒のいいところを褒めてあげることが大切です。 以上のことをこれから先生方と取り組めていけたらなという話をしました。私たち教師は、生徒たちが中学校に通っているこの3年間しか教えてあげられないですから。

全教室の机と椅子には防音対策としてテニスボールを装着
全教室の机と椅子には防音対策としてテニスボールを装着

子どもたちと真摯に向き合うことで生まれる信頼関係

――生徒と接するうえで大切にされていることはありますか?

杉本先生:やっぱりごまかさないことが一番じゃないですかね。子どもに対しても誠心誠意に対応する、ごまかさない、嘘をつかない。簡単なことのようで難しいんですよね。子どもは嘘をつくとすぐ見抜きますからね。子どもたちに教える立場にある以上、私たちも当たり前のことをちゃんとするようにしています。

十数匹の鯉が泳ぐ池
十数匹の鯉が泳ぐ池

街と自然が融合。子どもたちがのびのび暮らせる光町

――最後に、光町の魅力や、子育て環境についてお教えください。

杉本先生:「広島」駅というと都会というイメージですが、光町界隈は本当に静かで自然豊かですよね。そこが魅力ではないかと思います。学区は中山の方まであってすごく広いので、自転車やバスで通っている子どもたちも多いです。

橋本先生:一番は利便性がいいことでしょう。エキチカですし。それでいて駅北口から大通りをまたいでこっち側に来ると、市内とは思えない風光明媚な雰囲気が広がっています。環境としても静かで、居住するにはとてもいいところだと思います。ちょっと歩いたらすぐ都会だし、静かで自然豊か。歩道もキレイに整備されていて、毎朝たくさんのおじいちゃんやおばあちゃんが散歩されていますよ。車通りも少ないので子どもたちも安心安全に通学できます。

「広島市立二葉中学校」
「広島市立二葉中学校」

広島市立二葉中学校

橋本忍校長先生、杉本悟志教頭先生
所在地 :広島県広島市東区光町二丁目15-8
電話番号:082-262-0396
URL:http://cms.edu.city.hiroshima.jp/weblog/index.php?id=j1030&no=8
※この情報は2021(令和3)年6月時点のものです。